
岩石風化の技術で未来をつくる
岩石風化促進技術研究組合(J-ERW)は、岩石風化促進(Enhanced Rock Weathering:ERW)を活用したCO₂除去について、
日本の地質・資源条件に即した評価手法(炭素会計)および測定・報告・検証(MRV)の標準化に資する研究開発を行う技術研究組合です。
本サイトでは、技術の考え方、評価の枠組み、研究の進め方を分かりやすく紹介します。
プロジェクト概要紹介
風化促進とは
風化促進とは岩石による大気中のCO2の除去技術であり、そのメカニズムは岩石の「風化(Weathering)」と「CO2鉱物化(炭酸塩化,CO2 mineralization)」のコンビネーションです。
風化は岩石が自然環境の下で破砕・溶解し、新しい物質が沈殿するプロセスを指し、物理的な構造崩壊と構成元素の化学的作用による溶脱で、千年・万年単位で自然に進行する現象です。
一方、CO2鉱物化は岩石中のCa/Mgを含む鉱物(CO2と化合していないケイ酸塩等としての含有が必須)によって大気中のCO2を化学的に炭酸塩鉱物として固定化する現象を指します。
自然界の風化は長い時間を要するため、ERWでは、粉砕・散布・水理条件などの設計により反応を促進しつつ、正味のCO2固定量(除去量-関連排出)を炭素会計として定量化することが重要です。


A-ERW
A-ERWはAdvanced-Enhanced Rock Weathering の略記です。“A”には Accelerated(加速)、Active(自然の受け身ではなく能動的に)、Agro-industrial(農・工業的)、Advantageous(ベネフィットのある)の形容詞と Accurate Accounting(正確な炭素会計)の意味を含んでおります。A-ERWは、J-ERWの前身であるムーンショット型研究開発制度の目標4「2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現」の文脈で進められてきた研究開発の一部であり、研究開発プロジェクトの略称でもあります。本プロジェクトでは、日本の地質・散布場の特性を踏まえたERWの高度化、ならびに正確な炭素会計(LCA等)に資する情報基盤整備を目指してきました。
J-ERWは、A-ERWで蓄積された技術知見・評価知見を引き継ぎ、技術研究組合として、評価手法(炭素会計)およびMRVの標準化に資する研究開発を進めます。
LCA/TEA
風化促進の効果やコストは岩種、採取・粉砕条件、輸送距離、散布条件等により大きく異なるため不確実性が高いことが課題です。そのため本組合では風化促進のLCA(ライフサイクルアセスメント)とTEA(経済性評価)の考え方を用いて、正味のCO2固定量(除去量-関連排出)と不確かさ(誤差・感度)を含めた評価ツールの開発を行います。
入力項目(=ケーススタディの対象項目)
・岩石情報(採掘サイト、岩種、組成)
・輸送(輸送方法、輸送距離)
・粉砕(粉砕方法、粒径)
・散布(散布量、植物種、散布時期)
出力結果(=風化促進による負荷と効果)
・CO2固定量(kg-CO2/t-rock/y)
・全プロセスでのCO2排出量(kg-CO2/t-rock/y)
・総費用(円/t-rock/y)
・総利益(円/t-rock/y)
・コベネフィット(便宜)の整理

代表挨拶
私たちは、「岩石の風化促進による二酸化炭素の吸収技術(Enhanced Rock Weathering:ERW)」の実用化と社会実装を目指して活動している技術者・研究者・事業者の連携組織で、経済産業大臣から認可された法人です。
玄武岩などの塩基性岩を細かく砕き、大気中の二酸化炭素と接触(気固接触)させることで二酸化炭素を鉱物として固定化したり、農地や森林、休廃止鉱山にある酸性鉱山廃水などに散布することで、岩石の風化反応を加速させ、大気中の二酸化炭素を安定な鉱物や重炭酸イオン等として長期的に隔離するこの技術は、自然の仕組みを活用した「ネガティブ・エミッション」技術として世界的に注目を集めています。
私たちの組合では、学術界・産業界・行政機関が連携し、科学的根拠に基づいた技術開発と社会実装の道を切り拓くべく、日々知恵と力を結集しております。また、地域の皆様との協働を大切にしながら、安全性や経済性、環境への影響評価も含めた総合的な検証を進めております。
脱炭素社会の実現は一朝一夕には成し得ません。しかし、未来の世代に健全な地球環境を引き継ぐために、私たちには行動する責任があります。風化促進によるCO₂吸収という自然の叡智を活かした取り組みが、持続可能な社会への一助となるよう、今後も誠心誠意努めてまいります。
皆様のご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

岩石風化促進技術研究組合 代表理事
佐藤 努



